今Jリーグで最も勢いに乗るチームのひとつ、FC東京の試合を観ていたら、ふと、ポルトガルの名将ジョゼ・モウリーニョの言葉を思い出した。 自伝『ジョゼ・モウリーニョ』(講談社)で、彼はこう綴っている。 「選手に対して、選択肢は2つしかないと話していた。つまり、ゲームを支配するか、コントロールするかのどちらかだ」 ここで『支配』とは、なるべく相手陣内でプレーし、どんどんゴールを狙っていくこと。『コントロール』とは、下がった位置でしっかりとパスを回し、攻撃のチャンスをうかがうことだ。どちらも主導権を握ることには変わりないが、前者の方がはるかにリスクが大きい。「ゲームを支配し、それができない場合はコントロールする」というのがモウリーニョ流だ。 今のFC東京は、この2つの切り替えが抜群にうまい。 ドリブルで切れ込んだ石川直宏のシュートがDFにあたっても、素早くMFの羽生直剛、梶山陽