日本のメディアで多用される「自爆テロ」は、パレスチナ人の認識では「スーサイド・アタック」に他ならないことを知ったとき、彼らの絶望の深さに気付かされた。子どもまでが闘争に加わり、イスラエル兵に投石を行う姿をモニター越しに見たとき、断ちがたい憎しみの連鎖を知った。 同時に、イスラエルに兵役拒否をする若者が現れたこと。さらに、占領地で殺されているパレスチナ人と同じアラブ系住民がイスラエル国民の2割を占めることを知ったとき、マイノリティの複雑な胸中に思いを致した。 ユダヤ対パレスチナの対立関係は、まさしく「壁と卵」であるが、本書を読んでわかったのは、イスラエル国内の状況は、外から見るほど一様ではないということだ。著者はいう。 〈イスラエル社会に広く浸透しているパレスチナ人への強硬論を主張する人びとの心情を彼らの理屈を通して理解しなければ、イスラエルを本当に知ったことにならないのではないか〉 本書は