池上 読者層も変わってないんでしょうか。 的場 そこは変化があります。『超訳「資本論」』の売り上げデータを見ると、20代男子がボリューム層なんです。 池上 へぇー。 的場 30代の女性の割合もふつうの新書に比べて高い。これらの世代は、以前でしたら、ほとんどマルクスなんて見向きもしなかった層です。若い人たちのあいだで、「世の中、このままでいいんだろうか」という不安が、急速に高まっていることの反映かもしれません。 池上 これまでは私たちの世代が買いましたね。 的場 そうなんです。ただ今回は、中高年世代はむしろ敬遠しているような印象もあります。自分の生活防衛に必死で、社会のことを考えるヒマがないのかもしれません。中高年にかぎらず、景気が悪くなり過ぎると、今度は保守化するんですよ。 池上 ああ、なるほど。 不況が深刻になると、実はマルクスは読まれなくなる 的場 だからさじ加減なんですよね。そこそこ