つい先日、文化審議会の国語分科会が、「常用漢字表」に新たに11字を加える案を承認した(1月28日)。案にあがったのは、「阪」「熊」「奈」「岡」「鹿」「梨」「阜」「埼」「茨」「栃」「媛」と、いずれも府県名に使われている漢字で、いままで常用漢字表に入っていなかったのが意外なくらいである。 ところで、「国語分科会」という組織名に耳慣れない人もいるのではないだろうか。むしろ「国語審議会」なら聞いたことがあるという人のほうが多いかもしれない。 実は、国語審議会という名前の組織はすでにない。1934年に文部大臣の諮問機関として発足した国語審議会は2001年1月に廃止され、新たに設置された文化審議会の国語分科会として文部科学大臣の諮問機関へと移行し、現在にいたっている。 というわけで、タイトルにずばり「国語審議会」と掲げた本書の登場である。 国語とはそもそも近代国民国家が国民を統合するため、政策という人