2018年の5月だけでも、茅ヶ崎で90歳の女性が次々と歩行者をはね4人の死傷者を出す事故、愛知では免許返納を促され自暴自棄になった高齢の男性が放火事件などが起きた。この1年だけで多くの高齢者の運転トラブルが世間を騒がせている。内閣府の調査では、平成28年度運転により起こした死亡事故の件数は75歳以上が全体の13.5%を占める。 人口10万人あたりの件数は、2倍以上の数だ。2017年3月に道路交通法が改正され、高齢者の免許更新が厳しくなったはずだが、なぜトラブルは増え続けるのか。そのヒントを探るために、ライターの田中亜紀子さんが高齢の認知症の父に運転をやめさせることができた体験談をお届けする。「修羅場だった」と田中さんがいう約1年の格闘は、まず「納得してやめさせるための手段探し」から始まった。 この世にない家を探し回る父 自分の衰えを悟ることができる高齢者は運転をやめるが、衰えを自覚できない