今年三月、ソウルの大統領府青瓦台で、李明博大統領にお目にかかった。初めての謁見だったが、特に印象に残ることが二点あった。一つは、政局運営が非常に厳しい中にあって、批判を恐れず私を含む外国人の政策顧問団を任命したことだった。一国のリーダーが、外国人のアドバイザーを迎えるということは、日本ではなかなか考えられないことだ。しかも、日本人の私を顧問団に迎えた決断に、正直言って驚きを感じた。第二は、当時反政府の厳しいデモが続いていた中でも、大統領は極めて冷静に、颯爽と物事に対応していたことであった。日本のメディアは大統領が窮地に追い込まれているといった報道を繰り返していたが、当の大統領はそんなことを全く感じさせない、前向きな政策論を展開された。私は、李明博という人物が持つ並外れた「強さ」に、大いに感銘を受けた。 温和な表情の背後に宿るこの強さは、いったいどこから来るのか。その答えは、氏の半生を描い