ガラス製である。 長さは、いずれも50センチといったところか。 だが、数種類ある“試験管”は、二つとして同じものはなく、形状がそれぞれ微妙に異なっていた。ペニスそのものなのだ。試験管と同じかたちのものがストレート型、ペニスそっくりにつくられたものはリアル型、模様のように微細な突起物がついているのがドット型といった具合だ。 数え上げれば数十種類にも及ぶ。何十本と並ぶガラスのペニスは、コンドームの“型”だった。 「現在、使われているのは18種類の型ですね。かつては倍以上の型を使っていた時期もありましたが」 オカモト株式会社・研究開発課で主席研究員を務める対馬恭吾(つしま・きょうご)は、昭和51年の入社以来、31年にわたってコンドームの開発と研究に携わっている。出身は東京理科大だ。 「オイルショック後の、ひどい就職難の時代でね。理科系の学生でもほとんど求人がなかった。大学では有機合成を専門に研究