36人が犠牲になり、33人が重軽傷を負った昨年7月18日の「京都アニメーション」第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件。国内外で愛されるアニメを生み出してきた建物が炎と煙に覆われ、殺人事件では平成以降最悪の大惨事となった。猛煙に包まれた建物内で社員たちは懸命に脱出を試みた。近隣の人たちは救助に駆けつけ、遺体に接した人たちは失われた命の多さに言葉を失った。京都新聞社のこれまでの取材や独自に入手した資料と、関係者の証言を基に、犯人が火を放ってから全ての犠牲者を運び出すまでの約11時間を再現する。 【画像】京アニ事件発生当日の経過表 この日、京都市内の上空は梅雨前線の雲に覆われていた。新興住宅地の一角にある3階建ての第1スタジオでは、いつも通りに出勤してきた20~60代の男女70人がそれぞれの作業に励んでいた。 ■午前10時半ごろ事件発生 「死ね」爆発音 午前10時半ごろ、正面玄関のドアから