「俺は聞いていない」は、権威主義の男性上司の常套句だと思っていた。だが、昨今は、キャリアウーマンがその言葉を吐くのを目撃するようになった。 ある出版社でのこと。 本の売上部数が落ち、出版界は今そのことで深刻な打撃を受けている。私も執筆者として売上向上の営業努力を課せられる立場だ。 「私の本を100冊自宅に送ってください」と担当者の女性に注文した。本が出版されるとその宣伝のために本を各番組にばら撒くことが多いからだった。 「わかりました」とその女性は返事した。 そして、私のところに本が届いたのはそれから10日後だった。私がいろんな番組に出演した後だ。新刊はすぐには書店に並びきれておらず、仕方なく私は手ぶらで本の宣伝に回った。 「なぜすぐ送ってくれなかったのか」と言うと、その女性は、「“急ぎ”とは聞いていませんでしたから」と返事した。 数カ月後に大きなイベントを控えていた。 「私の本を会場で売
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