前回解説したとおり、投資家から企業に対して、財務情報だけでなく、どのように環境問題や社会の問題に取り組んでいるか、コーポレート・ガバナンスと言われる企業統治のあり方、企業の社会的責任、知的財産といった「非財務情報」の開示が求められるようになっています。本稿では、非財務情報が開示される「統合報告書」が投資家から注目される背景を紐解くとともに、企業が発行する統合報告書を読み解くためのポイントについて解説します。 世界的に、統合報告書の重要度が増している 統合報告書は、2010年7月にイギリスで創設された国際的NGOである国際統合報告委員会(IIRC:International Integrated Reporting Council)のフレームワークに端を発しています。このフレームワークは財務情報と非財務情報の両方を統合的に公開するという構成になっています。 なお、統合報告書は必ずしも定まった