前回までサプライチェーン・マネジメント(SCM)のベストプラクティスや進化形と、それを実現するための要点について解説してきた。日本企業もこれを目指すべきだが、現状に目を向けると、一部の企業や業界を除いて、日本のSCMは世界と比べてかなり遅れていると言わざるを得ない。コロナ危機がなくとも、サプライチェーンの見直しを迫られていただろう。 自社が属する業界や扱っている製品によって、何に重点的に取り組むべきかは異なる。その一方で、共通して乗り越えるべき課題もある。 多くの日本企業に共通して見られる課題にはどんなものがあり、どのようにしてそれらを乗り越えるべきなのか。本稿では、日本企業にとって特に重要な「①見える化は必須でやる」「②部門別・機能別組織の壁を超える」「③トップマネジメントが先導する」という3つのポイントに焦点を絞って議論を進めたい。 まずはデータを徹底的に収集し見える化すること ①見え