午前4時半。早朝のアルプス山系で、宮崎駿監督が目にしたのは牛の群れだった。 「子供が小屋の戸を開けると、牛が勝手に出てきて群れを作りながら、放牧場に向かう。毎日同じ時間に。その時気づいたのは、牛の歩調が日本の牛より遅いということだった」 1973年7月、宮崎は高畑勲監督、アニメーターの小田部羊一とスイスを訪ねた。目的は、翌年からテレビ放送されるアニメーション「アルプスの少女ハイジ」のロケハン。ヨハンナ・シュピリの児童文学を映像化するのに、演出の高畑、画面構成担当の宮崎、キャラクターデザイン担当の小田部は、アルプス地方の風物、習慣を見て、作品に生かそうとしたのだ。 「誰も来ないような山小屋の扉はいつもは開いているのか、閉まっているのか。ヨーロッパではどちらにするかは重要な意味があるんです」と宮崎。高畑、宮崎の「ハイジ」にかける思いはそれほど強かった。 高畑の初劇場用長編「太陽の王子 ホルスの
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