黄瀬:個人的な思いとして、「ロボットAIを、最も完成した知能である“人間”に近づけたい」という野望があります。私にとってロボットAIの研究は、「人間のように高度な知能を持ったロボットは実現可能なのか?」をたしかめる実験なんです。新しい技術が生まれるたびに、こんな応用ができるんじゃないかとワクワクしますね。 ──壮大ですね。ただ、昨年から話題になっているChatGPTなど、すでに人間の知能を超えつつあるようにも思えますが……。 黄瀬:言語や図像などの情報処理に限定すれば、AIはたしかに個々の人間を超えているかもしれません。しかし実空間での挙動に関しては、AIはまだまだ人間には遠く及びません。 とくに、物理空間のなかで臨機応変に作業するという点において、「人間」の能力があまりにも高すぎるのです。ロボットが膨大な学習を経てやっと実現できる挙動を、人はいとも簡単にこなしてしまいます。また、コスト面