「課長 島耕作」と言えば、サラリーマンを描いた漫画の金字塔。主人公の島耕作は、なぜあそこまで順調に出世することができたのか。作者である弘兼憲史さんに話を聞いた。 * * * 「島耕作」シリーズは、今年連載30年を迎え、役職も課長から部長、取締役、常務、専務、社長と上り詰め、今年8月に会長に就任。この男の生き様が、日本の会社員が目指す、ある種典型とも言える。 耕作がなぜ出世できたかと言えば、数々の転機に翻弄されながら、ひたすら真摯に仕事に打ち込んだから。それを周りが評価して、引き上げた。本人に出世の野望はなく、誠実なので周囲が安心する。キャラが上から好かれた。つまり、人間としてちゃんとしていることが出世の条件。 出世するタイプには三つの要素がある。段取りがうまい人、何にでもコメントできる人、他人のまねがうまい人。 段取りがうまい人は、銀座のクラブで飲んでいても、気配りでみんなを楽し