新知事が行ってしまった後、記者とのやりとりの中で、藤井局長はさらに声を荒げて、べらんめい口調でこうまくしたてていた。 「知事ってぇ名刺持つことはないって、そこなのよ、俺の言いてえのは。ふざけるなって。だって、知事になったことは、みんな知ってるじゃないの。しかも、3回もあいさつに来てよ。それでもって私は知事でございますって、あいさつしに来て、どうするんよ。自分のやってることと、言ってることが、行動で一緒でないと困る。」 これの映像が、その日26日の夕方から夜のテレビで流れ、翌日のニュースやワイドショウで流れたものだから、えらい騒ぎになってしまった。数日間でゆうに1万件の苦情電話が殺到し、職員は日曜返上で電話の応対に当たり、仕事にならず、てんやわんやの大騒動。なんてえことをしてくれたんだ!と同僚からも悲鳴が上がる。 当の、藤井局長は、反響の大きさに、すっかり意気消沈。あの威勢良さや、べら