建設会社に勤務して、宅地を中心に造成の施工管理をしていた谷さん。「現場監督」として住民の苦情処理に対応するうち、「これは技術屋の仕事ではない」と思い退職。その後、青年海外協力隊に応募してネパールに赴任し、宅地造成や灌漑工事の測量を担当した。 高校時代から書き続けていたSFだが、「午後5時に仕事が終わった後はすることがない」との理由で書き上げた『137機動旅団』が、奇想天外新人賞の佳作に入選。帰国後は国際協力事業団(当時)の一員としてフィリピンに赴任するが、実質的な作家生活はこのころに始まった。 「私の書く小説には技術的な要素が多く入りますが、それは技術やエンジニアが好きだから。仕事で得た経験がとても役立っていますし、未知の領域であっても応用が利くんですね。また、全体的な構造をデザインしてから細部を詰めていく執筆のスタイルも、技術畑出身だからでしょうね」 読書でも「何らかの形でエンジニアが出