認知症や知的障害で判断能力が不十分な人の生活を支援する「成年後見」という国の制度がある。第三者がお金を管理したり、さまざまな契約手続きを代わりに行ったりする仕組みだ。本人がだまされたり不利益を被ったりするのを防ぐ目的がある。ところが、使い勝手の悪さから逆に「制度にだまされた」と言う人が現れる事態になっている。不評を受け、国はようやく法改正の検討に乗り出したが、実現までの道のりはかなり長そうだ。(共同通信=市川亨、味園愛美) ▽介護保険と両輪の制度 成年後見は2000年、介護保険と同時にスタートし、両輪で超高齢社会を支える制度と位置付けられた。 介護保険は利用者が500万人を超え、一般に浸透した一方、成年後見の利用者は昨年末時点で約24万人と伸び悩む。認知症の人は約600万人、知的障害の人は約120万人いる。潜在的なニーズはもっと多いはずだ。 制度の存在が知られていないからだろうか。どうも、