技術革新が一段落した商品は、部品が共通化されて低価格化されるのは世の常だ。そんな中、生き残りと他社との差別化を考える企業は、ピンキリ商品の絶対値幅を広げる戦略に積極的に参加し始めている。問題は、バブル期によく言われ、現在では死語となりつつある「プライスパフォーマンス」を何によってどこまで持ち上げられるかということに尽きるだろう。 商品のピンキリ絶対値の拡大は、アクセサリーや腕時計、クルマの世界だけではなく、オーディオの世界でもまた同じだ。糸電話のような無線機に毛の生えたラジオからスタートしたオーディオ世界は、その後、人間の耳に聴こえるリアリティある音の完全再現を目標に、音楽再生のメカニズムを、いくつかの実現要素に分解し、各要素をデジタル技術とアナログ技術の実現と組み合わせにより、少しずつ進歩を遂げてきた。 高品質携帯オーディオの分野では、「耳の中での音楽再生」に大きなフォーカスが当たる時代