「つまり、蕎麦を食べたということなんですよ」と僕は言った 「なるほどなるほど、それはよかった」と先輩は言った。 「鶴丸は、大垣が誇る至高の名店なんだよ。わかる?昼ごはんをもう食べているかどうかはというのは擬似的な問題であって、目の前に鶴丸があるということが真の問題なの」 大学の先輩は東海地方の出身で、大垣に通暁していた。 鶴丸は、岐阜県は大垣市で135年続く老舗の定食屋だ。とにかく、大垣に来てこの店に来ないことはありえないのだという大垣偏愛者であるところの先輩の語気を前に、僕は昼ごはんをすでに食べていたのにもかかわらず、おやつにラーメンを食べることになってしまった。 老夫婦が店の奥から出てきて注文を聞いてくれた。僕はオーソドックスに、中華そばを注文した。 生活の中で、ふとした瞬間に、影が青く見えることがある。フィルム写真の中のような、北野武の映画の中のような、そんな感覚である。鶴丸はそうい
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