人に教えることは、学ぶことよりはるかに難しい。相手のモチベーションを上げ、理解度を把握しつつ、習得すべきポイントは確実に押さえてもらう。しかも教える相手が、分刻みのスケジュールで飛び回るスーパーエリート、宇宙飛行士だったとしたらどうだろう。限られた時間内で効率的に、しかし必要な情報は確実に伝えなければ、命にかかわることだってある。 宇宙飛行士に指導をする先生、それが訓練担当インストラクターである。彼らには、宇宙飛行士以上に膨大な知識を持ちながら、何を伝えるべきかという情報を取捨選択したうえで、的確に「伝える技術」が求められる。世界で、その技術を絶賛される日本人インストラクターがいる。醍醐加奈子さん。この仕事について8年目の若き女性だ。 国際宇宙ステーション(ISS)に実験棟「きぼう」を持つ日本は、「きぼう」で作業をする世界の宇宙飛行士に対して、宇宙実験や緊急時対応などの訓練を行う。その担当