情報通信技術の発達、とりわけインターネットの普及によっていわゆる仲介業者が不要となり、それにより消費者と生産者の便益が劇的に向上するとする議論が、世の中には意外と多い(印象)。 直接金融市場における調達コスト こうしたストーリーの大部分が印象と先入観に基づくものに過ぎないというのは、金融市場を見ればわかる。 例えば地方の中小企業が設備投資資金を調達しようとした場合、普通、債券を発行して個人投資家に直接販売するようなマネはせず、間接金融業者たる銀行から借り入れを行う。理由は、直接販売すると非常にコストがかかるからだ。 企業が債券を発行して投資家に販売することで市場から直接資金を調達する場合、当然のことながら、企業は投資家に対して債券の安全性と利回りのバランスについてさまざまな角度から入念な説明を行わなければならない。これはいわゆる金融商品取引法の問題以前に、ものを売るときの大原則として。 自