魔法使いの学校に通う眼鏡の少年と赤毛の少年の無茶な提案を、小さな魔"女"がこう諌める。「あら、それはちょっとおバカさんね!」 主演"女"優賞を勝ちとった俳優がこうスピーチする。「このオスカー像は作品に関わったすべての人のものよ! 分かちあうべきだわ」 ただ実際のところ、2人ともこんなことは言っていない。翻訳の過程で添加物を加えられ、ニュアンスが歪められた表現だ。添加物とはすなわち「女ことば」。現代を生きる女性たちがまず使っていないと言っていいその言葉は、なぜかこう呼ばれている。 「女ことばが存在していたほうが都合のいい人たちが、作為的に現代まで残し続けてきた」 そう語るのは「女ことば」研究の第一人者・中村桃子教授。 もうとっくに使われなくなったはずの女ことばを今に伝えているのは誰なのか。それによって歪められ聞こえなくなっているものは何なのか。また本当に生きた言葉とは。 『ハリーポッター』や