記者が購入した「日本国紀」単行本初版と上下巻からなる文庫版。下巻の付箋は誤りが放置されていたり、記者が気づいたりした単行本からの修正箇所。「超大幅加筆」をうたうが、天皇の靖国参拝や第二次大戦をめぐる初歩的な事実の誤りはスルーされていた 考え込んでしまった。「日本通史」をうたう作家・百田尚樹さんの文庫版「日本国紀」(11月17日発売)を読んで、である。単行本に対し指摘された数々の誤りが修正されたのは良いとして、なおも基本的かつ重大な誤りが放置されていたからだ。本を作るとは、そういうことなのか。【吉井理記/デジタル報道センター】 お断りしておく。 百田さんの小説はいくつか読んだ。時代小説「影法師」は、多くの名作を残した藤沢周平さんのファンである記者も引き込まれた。 だが、帯書きで「満を持して、待望の文庫化!」とアピールした文庫版「日本国紀」には、あきれかえった。 記者は3年前、単行本初版(20