淡色に忍ばせた開催国の現実 パラ公式画、問い直す理念―山口晃さん〔パラリンピック〕 2021年09月01日13時32分 山口晃さんが描いた東京パラリンピックの公式アートポスター「馬からやヲ射る」(C)Tokyo2020 東京パラリンピックの公式アートポスターの中に、淡い色彩で描かれた1枚の絵がある。手の代わりに足で勇壮に弓を引く和装の女性が目を引くが、緻密に描かれた背景に目をこらすと、共生社会の実現をうたう大会理念とは裏腹な「開催国の現実」が浮かび上がってくる仕掛けだ。どんな思いを込めたのか、制作者の画家、山口晃さん(52)に聞いた。 〔写真特集〕2020年東京五輪招致 山口さんの元に制作依頼が舞い込んだのは2019年春のこと。大会をめぐる数々の疑惑や不祥事にあきれ、「復興五輪」「コンパクト五輪」といった主催者の説明にも不信感を持っていた山口さんは、「美術が体制側を賛美することにならないか