本書の主人公は、「霞が関のジローラモ」と呼ばれた異色の官僚である。 ジムで鍛えた厚い胸板の上に派手なストライプ柄やカラフルな色のシャツをまとい、ピンクやパープルなどのネクタイを締める。肌は赤銅色に焼け、髪型は側頭部を短く刈り、頭頂部にふくらみをもたせたソフトモヒカンのようなスタイル。官僚のイメージからおよそかけ離れた外見のこの人物を、いつしか人々はイタリア人タレント、パンツェッタ・ジローラモになぞらえた渾名で呼ぶようになった。 ただし本家がいつも女性と一緒に雑誌の表紙におさまっていたのに対し、「霞が関のジローラモ」こと佐々木清隆氏はそんな色っぽさとは無縁だ。彼はいつも「事件」の傍にいた。それも特殊な事件である。カネボウ、オリンパス、ライブドア、村上ファンド、AIJ投資顧問、東芝、仮想通貨。佐々木氏は、企業監視官としてバブル崩壊後に続発した数々の経済事件を間近で見てきた人物なのだ。本書は企業
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