「杉田論文」が炎上した二か月後、「そんなにおかしいか『杉田論文』」という特集を『新潮45』は組む。そして、これこそが事実上の最終号であった。 特集では、七人の論者が「杉田論文」擁護の記事を執筆した。 論者のうち二人はゲイだ。一人は元・参議院議員の松浦大悟。もう一人は、とあるブログを運営する市井の同性愛者「かずと」氏である。 そんな「かずと」氏の論文「騒動の発端、尾辻かな子の欺瞞」を紹介したいと思う。 「かずと」氏は七〇年代生まれ、男性にしか興味がないことには小学生の頃から気づいていた。だが、自分が同性愛者だと長いあいだ認めなかった。同性愛者であることを隠し、同性愛の世界に背を向け続け、同僚の前では女性好きを演じ続けてきたのだ。 ある日のこと、尾辻かな子の著書『カミングアウト』を彼は手に取る。 表紙には、溌溂(はつらつ)とした笑顔を浮かべるショートカットの女性が写っていた。ページを捲ると、同
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