著: 大牧 圭吾 「きりたんぽ発祥の地?この『鹿角』って、なんて読むの?ああ、『かづの』って読むんですね。知らないなぁ……」 雑誌『TURNS』のプロデューサーにこんな質問をしていた私は、その3カ月後に「この町ほど、笑顔が温かい人が集まっている地域って、他にあります?」と、逆に質問しているくらいに、鹿角という町に惚れてしまっていた。 毎月3と8がつく日に開催される名物の「花輪朝市」。優しい笑顔のお母さんが、豆炭こたつに招いてくれた 2015年9月、はじめて鹿角という土地に足を踏み入れた。 なぜ読み方も知らないこの土地に来ることになったかというと、『TURNS』と、私が編集長を務める『ニッポン手仕事図鑑』で、鹿角市の移住促進PR動画を制作することになったからだ。 その日から今まで、もう何度も鹿角を訪れている。 いろいろな人と出会い、うっとりとする風景を眺め、鹿角の食を楽しんできた。昨年の12