国会図書館にある1991年刊行の、当時の科技庁による原賠法の解説書(既に絶版)をかり出す。 原賠法の特徴である賠償責任を原子力事業者に集中させ、その他の者を一切免責とするということのはじまりは、昭和三十一年にアメリカから引き渡される濃縮ウランについて、その引き渡し後は一切の責任からアメリカ政府を免責しなければ濃縮ウランの引き渡しはしないというアメリカからの要求だった。 翌三十二年には、コールダ―ホール改良型原子炉の受け入れについて、イギリス政府から、燃料の引き渡し後はイギリス政府、イギリス原子力公社を免責するという条項の申し入れがあり、日本政府はこれを呑んだ。 さて、この原賠法は改正されるべきである。 なぜならば、福島第一原発の事故でわかるように、ひとたび事故が起これば、電力会社は賠償と廃炉費用を負担することができない。 そのため、事故を起こした電力会社は債務超過に陥って破綻処理