驚愕の一冊である。老スナイパーの名は中村泰(ひろし)。1930年生まれのこの男、岐阜刑務所に服役中。しかし、この本のタイトルになっている1995年の国松警察庁長官狙撃事件による服役ではない。その罪状で訴追され、「救国」のために狙撃したことを世に知らしめたいという中村。しかし、自らの「救国」の行動により「チェ・ゲバラ」になりたかったというその夢はかなえらてはいない。 国家によってオウム真理教の組織的犯罪と結論づけられた狙撃事件。少なくとも真犯人一味のうちの一人は中村泰である、というのがこの本の結論だ。老スナイパーの記憶が、公的な最終判断に不満を持ったのであろう関係者の資料と照らし合わされていく。披瀝される数多くの証言は、その結論が真実、あるいは真実に限りなく近いもの、であると思わせるに十分である。もし、そうでないならば、そのような偶然がおきる確率はどれだけ低いかわからない。 まず、日本にもス
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