町田市の南西部を東西に走る町田街道、その街道の北側に横たわる多摩丘陵の稜線 上に一条の緑道がある。尾根緑道という。標高数十mばかりの低いなだらかな丘陵 の尾根道にはゆったりとした遊歩道が整備されている。丘陵を取り巻く景観は稀に 見る素晴らしさで、かつての雑木林の風景はもちろん、丘陵裾野に広がる市街地の 風景がまた絶景である。運がよければ富士山さえ遠望することが出来る。 ところでこの尾根道はかつては戦車道路と呼ばれていた。先の戦争中、相模原にあ った軍需工場で製造された戦車が実戦に供される前のテスト走行ルートとして使用 されたのだ。週に一度程度の頻度で走行した模様だ。ノモンハンでソ連軍の近代装 備の前に大敗した帝国陸軍は、欧州でのドイツ機甲師団による電撃作戦のすさまじ い戦果をみて、ようやく戦車の重要性を認識し開発を急いだようだ。 真新しい戦車がキャタピラーの音を丘陵にこだまさせつつ、土