見たこともない風景、考えたこともない状況、加速度的にスケールアップしていく物語の規模、まったく想像の埒外にあるものの、現実に存在するルールにはのっとっている破天荒なアイディアの数々。全十巻の『羽月莉音の帝国』がみせてくれたのは、そうした『規格外』な物語だった。口をあけてぽかーんと放心してしまうような、そんな傑作だ。ガガガ文庫といういわゆるライトノベルレーベルから出ており、挿絵がつき、二次元絵が表紙をかざっているが、そうしたものに抵抗がない人間は手にとって確かめてみるといい。 至道流星は日本の小説家。講談社BOXからデビューした当時からビジネスを基軸に据えて物語を動かしていく作家だったが、本作でもその流れは健在。一言で物語を説明するならば、真面目に国を作る話。国を創るには基本的に宣言すればいいのだけど、土地を占拠するわけだから武力が必要になり、ひいてはミサイルと核が必要になり、当然資金が何百
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