民主主義政治の理想は、参政権の平等と市民の政治参加を可能な限り追い求める点にある。それでも政治には、選挙や利権にからんで贈収賄の暗い面もつきまとう。 賄賂(わいろ)は、民主主義の骨格が確立された紀元前5世紀ギリシアの都市国家アテネでも、すでに日常現象だったらしい。とはいっても、金まみれの不浄な政治家ばかりだったわけではない。 最近出された西洋史の橋場弦(ゆずる)准教授(東大)の『賄賂とアテナイ民主政』(山川出版社)によれば、贈収賄を指すギリシア語がそのまま贈り物を意味したという。 古代ギリシアでは犯罪行為として非難する場合でも、賄賂は贈与の一種と考えられた。人からはもらって当たり前、もらえば同等のもので返礼するという原則は、古代ギリシアでは普通で、贈与こそ人のつながりを形づくる社会原理の根本であった。 何やら、盆暮れや冠婚葬祭の費(つい)えを惜しまない日本人には分かりやすい点が面白い。日本
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