わたしがクラブに行っていたのは、仕事のことを忘れたかったからだった。 人がたくさんいて暗がりで音楽が大音量で鳴ってて光がビカビカしててお酒を飲むと楽しくなって知らない人とどんどんともだちになって目を閉じて頭を振れば音がきもちよくて記憶もお金もなくなって、こうしてつかってなくすために稼いでるから我慢しようっておもっていた。 特別好きなアーティストのイベント目当てではないから、そんなに大きなとこへは行ったことがない。 当時は、職場はもちろん自宅も、がんばれつらい人はたくさんいるって励まされるから、どこにもいたくなかった、遅れてきた思春期の家出のようなことだった。 そんなだったから、クラブに行かない側かつ、生きるのがつらくない側のひとたちがなにを動機に行くようになるのか考えると簡単なようでいてむつかしい。 グレてないひとたちが繰り返し通うようになるには かかる曲やDJがいいっていうのが一番なのか