ある片腕のスイマーはレース後、「失格」を告げられた。理由は「両手で壁にタッチする」という健常者の競技ルールに外れたからだ。東京オリンピックとパラリンピックの開催にあたって、多様性や共生社会といった理念が盛んに唱えられた。だが、私たちの社会はその理念をどこまで実現できているのだろうか。 健常者のルール強いられ「失格」 2018年9月、札幌市で開かれた「日本スポーツマスターズ」の水泳競技会。平泳ぎのレースを終えた選手が失格になった。その選手には片腕の肘から先がないにもかかわらず、審判からは「プールの壁を両手でタッチしていない」と伝えられたという。 日本スポーツマスターズはスポーツ庁や日本オリンピック委員会(JOC)も後援するシニア向けの総合スポーツ大会だ。18年は水泳競技だけで800人以上が参加した。 主催するのは公益財団法人・日本スポーツ協会。国民体育大会(国体)も手がけるこの団体は、策定し
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