大学進学を機に上京し、勉強や部活の傍ら、生活や趣味に遣うお金のために様々なアルバイトをしていたが、どれも長続きしなかった。 一昨年のこの頃は飲食店に勤めていたが、ある日バイト中に社員に手を上げられ、そのまま店を辞めてしまった。 勢いでアルバイトを辞めてしまったが、働かないと生活が苦しくなる。 飲食以外でアルバイトを探していたところ、隣町の小さな本屋の求人を見つけた。 時給は低かったものの、仕事が暇そうだったのととても雰囲気がよかった事もあり、そのまま応募した。 無事に採用され、先輩からレジ周りの仕事から教えてもらうことになったのだが、その先輩は高校生だった。 「名前、似てますね。」 「私もそう思いました。」 私の名前は増田、先輩の名前は曽田だったので同じことを考えていたが、先に言われてしまった。 これが曽田さんとの初めての会話だった。 曽田さんは私より年下なのにとてもしっかりしていて、明る