1. はじめに 中国経済の成長が減速したため、経済構造の転換が進むのか否かに、世界の注目が集まっている。中国政府も、減速を「新常態(ニューノーマル)」と表現することで中国経済が新しいステージに入ったことを強調するとともに、産業構造の転換と高度化のために、「互聯網+(インターネットプラス)」や「大衆創業、万衆創新(大衆の創業、万人のイノベーション)」、「中国製造2025」、「供給側改革」など、各種政策を打ち出してきた。しかし、企業にとって成長戦略を変えることは、これにともなうリスクやコストも考慮する必要がある。また、政府にとって構造改革を行うことは、既得権にメスを入れる難しさや、改革にともなう成長率の鈍化をどこまで許容できるかというバランスの問題もクリアする必要がある。そのため、これまでの成長パターンを転換することは本質的に難しく、構造転換が遅々として進まない部分も出てくるわけだが、一方で、