2016年に東大生5人が起こした強制わいせつ事件をモチーフにした小説『彼女は頭が悪いから』(姫野カオルコ/文藝春秋)は、実に473ページにも及ぶ長編作品だ。 一人の女子大学生に大量の酒を飲ませ、マンションの一室に連れ込んで暴行を加えたこの事件は、2003年に集団強姦事件を起こした早稲田大学のサークル「スーパーフリー」を想起させるものでもあったし、また同時期に慶應大学や千葉大医学部の学生が相次いで同様の事件を起こしたこともあって、当時大きな話題となった。 どれも「酒を飲ませて暴行を加える」という点では共通している。しかし、他の事件がセックスを目的としていたのに対し、東大生の起こした一件で性行為そのものは行われていない。彼らがしたこと、それは「女子大学生を集団でいたぶり、おもちゃのように扱って盛り上がる」という行為だった。
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