『南極１号伝説－ダッチワイフの戦後史』（高月靖） : 本屋さんへ行こう！単行本で見逃していたこの一冊。ようやく読むことができました。ご覧の通りの扇情的なタイトルと装丁ですが、内実は硬派なノンフィクションです。 愛玩人形の現代史、ラブドールのありかたについて著者が声高に語らずに、淡々と周辺やまつわる人々を書き記す様が、好印象。お約束の「プロジェクトⅩ」な部分もあり、ビジネスユースも可…うそです言い過ぎました。 ヒトがヒトガタを愛するという、妖しくメロウな心の動き。ただもう、それだけで古今東西普遍の作品テーマ。 「ストックされた眼球」の写真は、『BLADERUNNER』のいちシーンを彷彿とさせます。これは偶然ではないでしょう。我々が身体を持った生き物である限り逃れられないサガを、改めて実感させてくれる作品です。 （リブロ イオンモール鶴見店 筒井陽一） 出版社：文藝春秋 書 名：『南極１号伝説－ダッチワイフの戦後史』 著 者：高月靖 定 価：620円（税込み）
