「カラに」する祝祭 大阪万博であの「太陽の塔」を打ち建てることになる岡本太郎は、67年に「万博はお祭りなんだ」と自説を披露していた。そこで彼は「お祭りというのは(...中略...)絶対的な消費が本質だと思う。蓄積はたぶん、お祭りまでの時期で、お祭りになったとたんにいままでの蓄積を全部そこで消費してしまうわけだ。(...中略...)そうして、次の段階でもっと幅の広い、もっと豊かな士気を蓄積してゆく」と述べている(桑原+岡本[1967]pp.98-99。吉見[2005→2011]p.80に教えられた)。 岡本が「お祭り」と言うとき、そこにはオリンピックの残影があっただろう。当初1960年東京開催を目指して開始されたオリンピック招致は、1959年になって1964年東京開催決定というかたちで実を結び、やがて高度経済成長さなかの東京に世界の祝祭をもたらす。山崎正和は60年代を「お祭りに明けて、お祭り