はじめに 近年、団塊世代の定年退職および労働力人口の減少を契機に、企業における人的資源の維持・管理はますます重要性を増しており、企業経営者の直面する喫緊の課題であろう。人的資源の強化は、労働生産性の向上により企業の業績に直結するのみならず、企業の持続可能性に関わる大問題である。人的資源の強化として、社員の健康管理は社員の教育と並ぶ重要なポイントとなる。 一方で、日本企業の経営環境は大きく変化し、短期的な成果が求められるようになった。雇用形態において、終身雇用を前提とした年功序列型の賃金体系から成果主義導入が進み、企業内格差は拡大したと考えられる。このような中、社員の健康への影響を把握し、長期的な視点から、経営を考え直す必要がある。 雇用環境の変化 近年、日本企業の経営環境は大きく変化した。グローバル化の進展、株式持合の解消の進展から、株主構成に変化が生じた。その結果、長期的な成果よりも短期