「地球システムとしてのマルチメディア」小檜山賢二著 「多様性への回帰」をキーワードとする 新時代のマルチメディア論 →全文へ 地球規模での人工環境を製造し続けてきた人類が、自然環境破壊の影響が自分たちに逆流してきたことを実感しつつある今、地球は混迷の時代に入っている。同時に、地球は明らかに新しい時代の扉を開く準備を行っている状態にあるといえる。そして、新しい価値観が必要とされる次世代において、地球規模の諸問題に回答を与え得るものとして、著者は、マルチメディアネットワークの可能性を追求する。 ここでのキーワードは、「多様性への回帰」である。生物の多様性には、遺伝子・生物種・生態系の三段階があるように、文化にもまた、人類というマクロな単位と、国や地域・民族などのミクロの単位がある。自然における生物種の絶滅に伴う多様性の喪失と、文化における画一化に対する懸念を示しつ