1年7ヶ月ぶりの今作は、インストのオープニング曲が“1978”と彼らの生まれ年だったり、地元桶川から(当時の)新宿リキッドルームのクラブイベントに通っていた頃のことをドキドキの疾走感で鳴らす“1998~土曜日の夜と日曜日の朝~”が収録されていたりと、まさにルーツを辿る内容。そして前作『稲川くん』に未収録だった“稲川くん”が遂に今作に。神聖かつノスタルジックなサウンドの中で語られる、同級生・稲川くんの切ない幼少期。《さぁ行け、おまえの望むところへ》というフレーズは、行き場もなくひとりで遊んでいた当時の稲川くんに向けて、だけじゃなく、今の自分たちにも歌っているような深みがある。時は流れ、子供が朝食を摂るのをベランダから眺めるシーンから始まる“コーンフレークダイアリー”で描かれた、幸せなのに何かやるせない心情も狂おしいほどリアル。ルーツを辿り、これからの道を照らし出そうとする今作。そこに浮かび上