一九九七夏、福祉先進国として他の国々の模範であったスウェーデンで、三〇年代以降、七〇年代にいたるまで、優生学を背景としたた強制的な不妊手術が実施されていたという事実が、スキャンダルとして世界を駆けめぐった。 この直後、スウェーデン政府は、この問題に関する独自の調査委員会を発足させ、この委員会の調査部は先頃(本年一月末)、「スウェーデンにおける不妊手術問題」(Steriliseringsfragen i Sverige 1935-1975)と題する中間報告を提出した。委員会調査部は、強制不妊手術の実態を、残された記録や被害当事者の証言などをもとに調査したうえで、今日、スウェーデン政府は二百件を超えるケースについて、被害者に対する謝罪ならびに補償を早急におこなうべきであると勧告し、そのための法案を準備した。委員会は遅くとも今年七月一日までに最終報告書を提出する予定である。 優生学と福祉国家は、