それにつけても、人間というのは本当に複雑だ。 同じ動機に衝き動かされるとしても、十人いれば十通りの行動があり得るし、逆に、同じひとつの行動のバックに潜む動機もまた、十人十色のバリエーションがあり得る。だから、自分自身や他人の心を観察して、動機と言動とを結びつけようと思っても簡単ではない。ひどい時には、動機と行動とがまるで正反対のような見かけを呈することさえあり得るのだから。 さて、インターネット上をみていると、社会を糾弾するシュプレヒコールを繰り返している人達や、いわゆる“運動”を呼びかけている人の姿が散見される。彼らもまた、十人十色の様々な動機に基づいて、あれこれやっているのだろうとは思う。本心から社会に変わって欲しいと思っている人や、自分自身の問題を少しでも解決に近づけたいと思っている人などは、動機と言動とを結びつけやすいかもしれない。彼らはきっと、議論や運動がソリューションへと繋がっ