継投も、代打も、代走も一切なし。金足農は選手交代ゼロのたった9人で、秋田大会初戦から甲子園準決勝までの10試合を勝ち上がり、全国3781チームの頂点を決める最後の舞台までたどりついた。 異彩を放つ快進撃の要因を「全員のチームワーク。結束力だと思います」と語るのは、甲子園全5試合で完投し、計749球を投じているエースの吉田輝星だ。 チーム力の伏線は、3年前にさかのぼる。 7番を打つ菊地彪吾が振り返る。「中学の軟式野球が終わった後、(高校入学前に)硬式に慣れておきたくて秋田北シニアに入ったんです」。そこに吉田や1番打者の菅原天空ら、現メンバーの中心選手たちがそろっていた。 菅原天の父・天城さんは金足農OBで現コーチ。吉田の父も金足農OBで、天城さんの同級生。そんな偶然の巡り合わせがそこにあった。 「みんなで金足農に行かない?」 当然の流れだった。主将の佐々木大夢、6番打者の高橋佑輔たちも同調し