映画『デトロイト』を見てきた。 見る前に知人から胸糞映画だと言われて覚悟していたのだが、実際、胸がスッとするようなカタルシスは最後まで訪れず(史実に沿っているのだから仕方がないが)、見た後も頭痛がしてしばらく落ち込んだままだった。 この映画は黒人差別を扱ったものだが、その描き方については様々な観点から批判がなされている。たとえば古谷有希子は、この映画は公民権運動の一部としてのデトロイト暴動の背景や意味について触れることなく、ただその暴力性にスポットを当てており、黒人に対してネガティヴなイメージを喚起する差別助長映画であると喝破している*1。また、Shenequa Goldingも、この映画は「ホラー映画」の演出を用いてしまったことで、それぞれの人物の個性が埋没してしまったことを指摘する*2。やはりここでも問題になっているのは、センセーショナルな暴力にスポットが当たっているため、本質的な問題
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