富士山麓の食べ物で最も有名なのが、静岡県富士宮市の富士宮やきそばだ。全国のB級グルメブームを巻き起こした発信源だ。富士宮やきそばは、もはや地域ブランドというより全国ブランドになったB級グルメの王様でもある。実際、B級グルメ日本一を競う「B-1グランプリ」で2006年、2007年と2年連続でグランプリに輝いている。 富士宮やきそばの仕掛け人となったのが、「富士宮やきそば学会」という名称の町おこし団体を設立した渡辺英彦会長だ。地元で保険代理業を営むかたわらボランティアで町おこしをする渡辺会長は、最初は富士宮にやきそば店が多いのに着目した。調べてみると、普通の麺と違ってモチモチした蒸し麺で、コシがあるのが特徴だった。鉄板上で蒸し麺にキャベツ、肉かすを加えて焼き上げるシンプルなやきそばだ。 2000年にスタートした富士宮やきそばの町おこしは、渡辺会長の独自のマーケティングが功を奏して年間50万人以