すさまじいノンフィクション。口全開で読む。 極限と、そこからの生還がある。月並みだが、「事実は小説よりも奇」を地でいく。ただしこの場合、「奇」ではなく「危」だな。あるいは「飢」か。 動機は、「大英帝国が南極点到達に遅れをとるなんて!」→「ならば南極大陸横断だ」と、まことに不屈魂(endurance)あふれるもの。無線は実用化されておらず、ましてや雪上車? なにそれ? の時代、つまり1914年に決行している。 当時としては最も頑強な「エンデュアランス号」は、南極大陸の手前で氷に閉じ込められ→圧砕→沈没。5,000人から選び抜かれた28名は氷板の上で生き延びるも、破砕→漂流。食料不足、極寒の嵐、凍傷、病気… 次から次へとくる危機的状況に、真正面から立ち向かう。写真を見る限り、冒険自体が狂気の沙汰としか思えん。 本書の中盤あたりから、誰が死んでもおかしくない状況がの連続。いや、全員死亡もありうる