億万長者になった自分を想像してみよう。生涯で使い切れないほどのお金を手にしたあなたは、サハラ以南アフリカ諸国への援助を考える。数多い国の中で、どの国から投資をすべきか?世界銀行による世界開発指標で国民1人あたりのGDPを調べてみると、コンゴ民主共和国の92米ドルが最も小さなものであることがわかる(本書による2009年の調査時点での2000年の値)。 念のために、経済学者にもよく利用される、ペン・ワールド・テーブル(PWT)とアンガス・マディソン(マディソン)のデータセットでも調べてみよう。PWTでもマディソンでも、コンゴ民主共和国の1人当たりGDPが最も小さな値を示している。「先ずはコンゴ民主共和国へ援助金を出そう」、と考えるかもしれない。しかし、これら3つのデータセットで貧困国ランキングを作成すると、奇妙な事実が浮かび上がる。例えばPWTでは貧困国ランキング7位のギニアが、マディソンでは