若い頃よく、「おまえは人の話を聞いてない」と言われたものだった。あまりよく言われるので、そうなんだろうなと了解し、そしてよく聞こうと努力した。が、努力してもさしたる変化はなかった。そのうち、もしかして、と思うようになった。 もしかして、人の話を聞くというのは、その内容を理解するということではなく、その人の間接的な命令に従えということなのではないかな。 だから、その間接的な命令に論理的な矛盾があることをきちんと律儀に聞き取って指摘を返すと、「おまえは人の話を聞いてない」ということになるのではないか。そういう仮説に立って、人は自分になにを求めているのかという枠組みを先に処理したほうがよさそうだなと思うようになった。実際のところ、たいていはそういうことだった。 が、例外がある。ごく稀にというほどでもないのだが、そしてどちらかというとパソコン通信とかで広げた交友の結果でもあるのだが、私の話を聞く人